顕真学院の設立趣旨
どの時代においても、制度は、社会参加可能な軽度、中度の障害を有する人達に向けられて用意されていますが、障害の重い人たちは、いつもその後ろで隠れたような存在になってしまっています。この人たちこそが、我々の人間としての在り方を教えてくれる大事な存在なのだと思います。この顕真学院は、そういった人たちとの「暮らし」を大切に考えた場所です。この人たちと「共存する」ことで「彼らの価値観」を我々は学び、お互いの生活がどうあるべきかを創造して行く、また、世の中で欲や社会の常識に埋もれて自分を見失った人達に、このすばらしさを知って頂き、再度、自分を振り返って自分というものの在り方を問うていただきたい、こういった事を大切にしていきたい、その場所として顕真学院を設立致しました。
顕真学院の名称について

「顕真」とは、人間の本来の姿を「真実」という言葉において、その姿を「顕す」ということから用いた名称です。
ここで言う、「真実」とは、単なるうそのつかない、本当のことのいみではなく、本来の持っているべき変りようのない姿、いわば「本質」をいいます。
人間は、肉体的にはその誕生から成長期をへて老化、死へと変化していきます。また、精神的には「欲」という根幹からのエネルギーによって常に自己のおかれた立場や環境、老いへの道筋の中でその考え方や思い方は変化します。つまり「変わらないものはない」という事実があります。これが人間の「本質」です。
では、日常の生活ではどうでしょうか。私たちは、現代社会の文明とういうものに振り回され、文化生活だとだと言いつつ機械に頼り、人間の本来の姿である考える力・創作する力を殺いでしまっています。さらに私たちは、自己を維持あるいは堅持しようとするため、自分を偽り、他人をだまし、名誉や自己顕示のため、他人との間に差をつくり、あるいはお金をかけ身をかざるなど終わりなき「自欲」の追求へと走ります。また、他人の老いたる姿や振る舞いをみて、厭い嫌ったりまたは批判をするなど、向こうだけをみて自分は忘れている、いかにも自己中心的なものの見方ではないでしょうか、その結果として、苦しみや悲しみといった苦痛を生み出し、それを味わうことになるのです。これも人間の「本質」です。
こういった向こうだけしか見えない私たちに、重い知的障害や重複障害を有する人々は、まさに私たちを映し出す鏡の役目をしてくれます。確かに彼らは、社会的に見たら知的に低く、周りを気にすることもなく、ともすれば自己中心的なわがままばかり、あるいは欲求が通らない、いやな状況が頭の中に描かれるとパニックやだだっ子のような行動をとります。また、重症心身障害という、言葉がない、動けない人々は、全面介助という私たちの助けがないと生きていくことすら難しい状況があります。
さてどうでしょう。私たち社会の中で生きる人間も、このようなことを心の根っこの部分に有しているのではないでしょうか。「欲求を作り出しそれを満たそうとすること」や、かならず「他人に迷惑をかけつつ生きていること」は、普段当たり前のように行われていて、別に自分がそうしているなんてことを気づかずにいます。
しかし、重い障害を有する人たちといっしょに暮らしていると、彼らとの付き合いの中から、自分の姿が彼らを介して自分に向けられてくるように感じられてきます。このことを具現化すると「学ぶ=学院」という発想になります。
つまり、障害を有する彼らの思惟のない自分自身のそのままの姿、ありのままの姿を表現することが『真実を顕す』ことであり、それを学び取る我々が『学』であり、その場所が『院』であるのです。
顕真学院がめざすもの
基本8項目へのアプローチ
1.生活になくてはならない建物、この建物に生活という息を吹き込む
2.私たちが健常者として培われてきた社会的人間観におけるカテゴリー(概念の枠)をひろげていく
3.小集団での動きを考える
4.活動する場と生活する場を分ける
5.受容・許容(許し受け入れること)は積極的に!禁止は最小限にとどめ、暴力は厳禁
6.感覚刺激を通して利用者との接触を積極的に!安心と安全の生活が送れることをめざす
7.『待ち』の姿勢を忘れずに!
8.社会資源の活用を積極的に!自己啓発にも積極的に!
顕真学院概要
- 法人名・施設名
- 社会福祉法人杏の郷 ・障害者支援施設 顕真学院
- 代表者
- 理事長・学院長 海 野 秀 彦
- 所在地
- 〒387-0004
長野県千曲市倉科1048-1
TEL. 026-274-0883
FAX. 026-274-0884
- 設立
- 平成8年4月(1996年)
- 職員数
- 30名(平成31年4月現在)
- 利用定員
- ○ 日中生活介護 40名
○ 施設入所支援 30名 (男性15名・女性15名)- ○ ショートステイ(S.S) 2名
- 建物
- ○ 敷地面積 3,714.00 ㎡
○ 建築面積 1,180.43 ㎡
○ 延面積 2,330.00 ㎡ ○ 建築構造 鉄骨平屋造(冷暖房完備)
沿 革
- 平成 6年 3月
- 設立準備委員会発足
- 平成 7年 6月
- 社会福祉法人 杏の郷 設立認可を受ける
- 平成 7年 7月
- 知的障害者更生施設 顕真学院 建設工事 着工 更埴市大字倉科1048番地1
- 平成 8年 3月
- 知的障害者更生施設 顕真学院 建設工事 竣工
- 平成 8年 4月
- 知的障害者更生施設 開所
- 平成15年 8月
- 更埴市・戸倉町・上山田町合併により住所変更 千曲市大字倉科1048番地1
- 平成20年 4月
- 障害者自立支援法施行により名称変更 障害者支援施設 顕真学院
- 現在に至る